SEWING ソーイングのコツ

ダブルガーゼの縫い方

 

手作りマスクなどでも人気のダブルガーゼ生地。
肌触りもよく、ハンドメイドにも人気です。
柔らかく気持ちの良い生地だからこそ、縫いにくく感じることもありますね。
コツを押さえて縫いにくさを改善していきましょう。ソーイングには色々な方法がありますのでご参考までにどうぞ♩

 

そもそもダブルガーゼ生地とは?

 

甘撚りの糸を使用した、粗めの平織り生地がガーゼ生地(シングルガーゼ)です。
晒し加工を施した柔らかな風合いを特徴としています。
主に綿麻絹などの天然繊維を使用することが多く、柔らかさや肌さわりの良さ、吸水性に優れているのが特徴です。

シングルガーゼを2枚重ねたものを「ダブルガーゼ」
3枚重ねたもの「トリプルガーゼ」
6枚重ねたものは「6重ガーゼ」などと呼ばれています。

生地は接結と呼ばれる方法でとめつけてあります。

 

ダブルガーゼ生地の特徴とデメリットとは

 

ダブルガーゼの一番の特徴は「柔らかさ」「吸水性の良さ」です。
それを求めて生地を選ぶことが多いと思いますが、その点がデメリットにもつながります。

平織り生地の場合、一般的には目が詰まっている生地のほうが(生地密度ともいいます)硬い生地となります。
糸の番手は細くても、密度が高いとハリがあり硬い風合いになります。
ブロードやローン、タイプライターなどを想像して頂けると良いかと思います。

密度が甘いため吸水性にも優れていますし、肌さわりも良いです。

ダブルガーゼは粗めにゆるく織られている構造上、その柔らかな風合いを作ることができており
その分どうしても「生地の歪み」「生地のズレ」「生地の縮み」が起きやすい性質があります。

ですので、ある程度「ダブルガーゼとはこんな生地だ」と理解して使用するのがまずオススメです。

ダブルガーゼを使うのに、ブロードやタイプライター、オックス(斜子織ですが)のような固定感を求めるのは無理がありますし、
同じような縫製で作ろうとするので上手くいきません。
また、シルエットをハッキリと表現したいデザインや、ゆとりのないタイトなシルエットのデザインに使用するのは難しいと思います。

ダブルガーゼのよくある問題点

 

  1. 生地が歪みやすい、ズレやすい、裁断がうまくできない(一番多いと思います)
  2. 縫うと伸びてくる
  3. 生地がほつれてくる
  4. 縫い代の始末がうまくできない、ジグザクがきれいに乗らない
  5. 生地に穴が開く
  6. 滑脱してくる
  7. 洗濯すると縮む

 

ダブルガーゼのよくある問題点・解決方法まとめ

 

  1. 生地の水通し、地直しをしっかり行う
    生地をまっすぐに配置する、持ち上げずパターンを置いて裁断する
  2. 針、糸を適正に、針目は細かめ、押さえ圧は弱く、糸調子は緩めでもいい
    生地を裁ち目で引っ張って縫わない
  3. 生地にあまり触らない
  4. 内側にジグザクをして余分な部分を後からカット
    二つ折りにしてからジグザグ、袋縫、折り伏せにするなど
  5. 針や糸が太すぎないか見直し、針が古くないか見直し
    縫うときに引っ張っていないか見直し
  6. 針目が大きくないか、力が加わる部分に対して仕様が適正か(
    袋縫、折伏せ縫いなど強度のある仕様にする)
    生地とデザインが適しているか
  7. 水通しをする、場合によっては生地の段階で洗剤で洗濯する

 

 

1

生地の水通しや地直しをきちんと行う
布をまっすぐに配置し裁断は生地を動かさないこと

 

POINT:ダブルガーゼは織りが粗く柔らかい生地です
織りが粗いものは動きやすい生地のため、裁断は丁寧慎重に動かさないように行います。

 

【水通し】
目的は生地の歪みや汚れを取り除き、縮みを予防するためです。
せっかく作ったものが後々縮んでしまうことを防ぐために、まず生地の段階で縮めておこう、という感じです。

どんな生地で必要か、絶対必要かと質問されることが多いのですが、
「洗濯するかどうか」というのを基準に考えれば良いと思います。

主に天然繊維などの洗濯縮みが起きるものに行いますので、ポリエステルには基本必要ありませんし、
天然繊維でも「全く洗わない!」というのであればあまり必要ないのかもしれません。

※水通しの必要がある生地かどうかは購入時「生地屋さんに確認」して下さい。
生地屋さんは生地のプロですし、販売している立場ですので、そこで確認されるのが一番正確です。

 

基本的な方法は、たっぷりの水に半日から一晩、蛇腹折りにした生地を浸しておきます。
その後軽く絞り(ギュッとするのはNG)日陰干しします。
それぞれに理由があって、ギュッと絞ると生地が痛むことと、日光に当たると変色するためです。

あまりオススメしていいのは分かりませんが、教室の方にはお伝えしていますが私自身はもう少し手軽に行なっています。ホームソーイングなので用途によっては乾燥までさせることもあります…。

 

【布の配置方法】

方眼用紙などがあればその上でまっすぐに置きます。
ない場合は机の端などを利用して直角を確認します。
布の動きが気になる場合は布端をテープなどで固定するのもオススメです。

 

※そのくらいダブルガーゼは裁断がとても重要です!
まずはまっすぐにきちんと裁断できていても縫いにくい生地ですから、
きちんと裁断するのがまずとても大切なポイントです。

 

生地の歪みがなくなった状態で生地端からの距離を測りそこに布目を通すのですが、
まずこの布目をまっすぐに置けていない場合が多いです。

自分の目にはまっすぐに見えていても、寸法を測ると一定でない場合がとても多いためです。

 

「生地がまっすぐ」「布目をまっすぐ」その状態がまず「まっすぐに裁断できる下準備」という感じですので、
キレイに仕上げたいのであれば、ここはしっかり丁寧に確認するのがオススメです。

 

【裁断方法】

<オススメ☆ロータリーカッター>

教室でも裁断のほとんどをロータリーカッターで行なっています。
カッターマットが必要になりますが、まず布の上にパターンを置き文鎮など錘を置きます。
錘はお皿や習字用文鎮でもなんでも構いません。

下から上に向かって押し切るようにカッターを使います。

大事なのは「自分が動くこと」です。
一度裁断を始めたら、生地を動かすことはせず「自分が」動きます。

厚みのある生地の場合は一枚ずつ裁断するのがオススメです。

 

<裁ちバサミ>

ハサミを使用する場合も、あまりピン打ちはオススメしていません。
ピンは上手に打たないと、それだけで生地を動かしてズレてしまうからです。
できれば錘を置いて、ハサミの使い方はパターンに沿うように、
どちらかというとパターンを刃で押さえるような感じで裁断していきます。
絶対に持ち上げるのはNGです。

 

※生地の歪みについて
ほとんどの生地は歪んでいます。
特に織りの粗い生地はとても歪みやすいです。
また、生地屋さんで購入する際、地の目で裁断してくれるお店は稀です。
(近頃、ダブルガーゼに関しては布目で切って下さるところも増えました)裁ち目は曲がっていることがほとんどです。
裁ち目を当てにせず、大まかでもいいので地直しをして真っ直ぐを取りましょう。

 

【地直し】

横糸を一本通し、縦横の歪みを見ます。
必要に応じて生地をバイアス方向に引っ張り、歪みを整えます。

その後、生地の裏からアイロンをかけて固定します。
アイロンはくねくねかけたりする必要はなく、縦横を意識してかけます。
熱いうちは生地がまた歪むため、しっかり冷却してから生地を移動します。

※動画でご説明しています

 

2

生地に合った針と糸を選び、少し細かめで緩めの糸調子でも良い
裁ち目で絶対引っ張らない、布目でテンションをかける

 

POINT:ダブルガーゼは織りが粗く伸びやすい生地です。
縫いつれや縮みが起こりやすいため生地を張りつつも、絶対に裁ち目では引っ張りません。

 

縫い目を細かくする、糸調子を少し緩めることで薄地、柔らかい生地のつれを防ぐことができます。

縫い縮みも起きやすい生地のためある程度生地にテンションをかけて縫う場合もあります。
その場合は、伸びてしまうので絶対に裁ち目で引っ張ることは避けます。

ミシンの針が落ちるあたりの「布目」で少し引っ張って、生地が落ち込むのを防ぎます。

また、織りが粗く引っかかりやすいため、糸引きやパッカリングに注意しながら針と糸を選び、
滑脱が起きないように設定します。
押さえの圧力で生地が伸びることもあるため、押さえ圧が調整できる場合は少し弱めに設定するのがオススメです。

できない場合は厚紙やPPバンドなどを押さえと生地の間に挟むことで圧力を弱めるのもオススメです。
これは生地の固定にもなりますので、肩バイアスなどを縫う場合にも有効です。
その場合は生地表面への引っかかりに注意してください。

 

3

生地を丁寧に扱う

 

POINT:ダブルガーゼは織りが粗く、ほつれやすく伸びやすい生地です。
丁寧に扱わないと端からどんどんほつれてしまい、びろんと伸びてしまいます。

 

生地は裁断した後、できるだけ早く縫い合わせるのが理想的です。
生地を持って移動する時、生地端を持ってだらんと下げながら移動したりすると、
生地の重みもありすぐに伸び、歪みも生じます。

生地は平らに持って、必要以上に触らないようにしましょう。

また、作業は持ち上げたり、膝の上でおこなわず、平らな場所で行ってください。
「伸びやすいから伸ばさないようにする」と意識してみるだけでも結構変わってきます。

 

4

ジグザグは内側にかける、ジグザグ以外の仕様も使う

 

POINT:ほつれやすく滑脱の起こりやすい生地のため、仕様を検討します

 

アイテムや使用箇所よって仕様を考えていきます。
ジグザグミシンがかけにくい場合
・縫い代を広めにとって内側にジグザグ、後からカット
・ジグザグ用、裁ち目かがり用など薄地押さえがあれば変える
・縫い代を広めに取り、二つおりにしてからジグザグをかける
などの方法がオススメです。

そのほか、袋縫や折り伏せ縫いなど、縫い代を隠してしまう仕様もオススメです。

 

5

生地に穴があく場合は針と糸を見直す

 

POINT:9番の針、90番の糸など細くしてみる、新しい針にする

織りが粗く目が開きやすいため、針や糸が太すぎないように気をつけます。
縫い間違いを解く際にも十分に気をつけて生地の糸を引っ張らないようにします。

力の加わる箇所には補強や仕様を考えておくのもオススメです。

また、見た目には分からなくても針が傷んでいることも多いです。
消耗品ですので、ある程度の量を縫ったら折れる前に交換すると直ることもあります。

 

6

滑脱する場合は仕様を見直す

 

POINT:力の加わり方、箇所で仕様を考える、タイトなデザインには向かない生地

滑脱とは縫い目が開いてくる現象のことで、縫い目部分に強い力が加わることで起こります。
強い力が加わる、何度も力が加わる…という箇所には芯やステッチや縫い方であらかじめ対処しておきます。
作るアイテムとサイズを考えて生地を選びます。

 

7

洗濯すると縮む

POINT:織りが粗いのでどうしても仕方のないこと、下準備をしてなるべく防ぎます。

 

1と重なりますが、水通しをしっかりして下準備しておくことです。
「作った後の洗濯はどうするか」ということで決めると良いかと思います。

生地や洗濯方法によってはある程度の縮みは生じる可能性はありますので、
ご購入時に生地屋さんに取り扱いや洗濯について質問されるのをおすすめします。

その上で、どうしてもダブルガーゼ生地ですから「絶対に縮まない!」というのは難しいと理解して進めると良いと思います。
そして、しわで縮んで見えることも多いので、洗濯時にしわを伸ばしたり、アイロンをかけることで
見た目の縮みを改善することもできます。

 

 

基本的なことばかりですが、しっかり下準備をして、デメリットを理解し、丁寧に作業するとグッと縫いやすくなります。

柔らかくて気持ちの良いダブルガーゼ生地で、たくさんお気に入りのアイテムを作りたいですね♩

 

 

キルティング生地の縫い方はこちらから

 

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